家づくり知識 間取り作りの前に知ってほしい「壁の厚み」の話

家づくり知識

前回は、有効幅について紹介しました。

(前回記事:図面だけを信じると失敗する⁉️有効幅の話

壁の厚みが有効幅を左右すると紹介しましたが、では「壁の厚み」ってどうやって決まるんでしょう。

壁の構造から、厚みを左右する要因など、あまり意識することはないけど、ぜひ間取り作りの前に知ってほしい「壁の厚み」について、紹介したいと思います。

「壁の厚み」について理解することで使える、間取り作りで使える小ワザも紹介します!

ぜひ最後までご覧ください。

壁の構造

壁は通常、「柱」、「石膏ボード」、「仕上げ」でできています。

□ 柱

 建物を構造的に支える垂直方向の部材。

□ 石膏ボード

 遮音や耐火のほか、仕上げを綺麗に施工するための下地としての役割がある壁材。

□ 仕上げ

 直接目に触れる部分の表面材料。日本の住宅ではビニールクロスと呼ばれる壁紙が主流。

 他には漆喰や珪藻土などをつかった塗り壁や、タイル、天然木などがある。

壁の厚み

壁を構成する材料の厚みの合計が、壁の厚みになります。

一般的には3.5寸の柱(105mm)、12.5mmの石膏ボードが使われることが多いようです。

壁を構成するのは上図の通り、1本の柱、2枚の石膏ボード、2枚分の仕上げですので、

壁の厚みは105 +(12.5×2)+(仕上げの厚み)=130〜135mm程度になります。

壁の厚みを左右する要因

一般的な木造住宅の壁の厚みは130〜135mm程度ですが、例外もあります。

柱の太さ

タイトル通りで、一般的な3.5寸ではなく4寸の柱の場合は壁の厚みもその分厚くなります。

その差は0.5寸なので、およそ15mmです。

下地の有無・厚み

壁付けのフロート型TV台など、奥行きや重さのある家具の場合、それを壁で支えられるだけの長さのあるボルト等で固定しなければいけません。

もちろん固定される側の壁にも、そのボルトを効かせるための厚い下地が必要になります。

柱以上に厚い下地が必要な場合は、下地の厚みに合わせて壁を厚くする必要があります。

仕上げ・石膏ボードの厚み

内装の仕上げ材には壁紙以外にもたくさんあります。

厚みのある仕上げ材としては、珪藻土などの塗り壁やタイル、天然木などがあります。

ビニールクロスよりも厚みがある分、壁厚も大きくなります。

さらにタイルなどの重みのある仕上げ材の場合、それを支えるために下地を入れなければならない場合もあるため、仕上げ材そのものの厚み以上に厚くなることもあります。

また、当然その下地となる石膏ボードの厚みによっても壁の厚みは変わります。

壁の厚みを変えることでできる工夫

上記に示すように、構成材によってどうしても壁が厚くなる場合がある一方、あえて壁を厚くしたり、薄くしたりすることでメリットがある場合があります。

いくつか私たちも検討・採用した方法を紹介します。

壁を厚くする

壁を厚くすることを、「壁をふかす(付加す)」と言います。

壁をふかすことで使える小ワザを紹介します。

腰壁でおしゃれな空間づくり

あえて壁をふかして腰壁をつくることで、寝室の枕元などのちょっとした物置にしたり、照明を仕込んでおしゃれな空間を作ることもできます。

部屋全体の有効幅は小さくなりますが、圧迫感は抑えつつ、すっきりと洗練された雰囲気を演出できます。

配管隠し

どのお家でも一ヶ所はあるんじゃないでしょうか。

トイレをご確認ください。

こんな棚や出っ張りがありませんか?

これ、収納やおしゃれといった目的でついているのではなく、そもそもは配管を隠すために設置されています。

このように一部の壁を厚くすることで見せたくないものを隠すことができるんですね。

深いニッチを作れる

ニッチとは壁を彫り込むことで、収納や飾り棚にするものです。

壁の厚み以上に深いものは作れないので、通常の深さは10cm程度までです。

しかし、壁を厚くすればその分ニッチも深くすることができます。

大きめの花瓶や本なども置けるようになると、より汎用性の高いニッチにできますね。

遮音・断熱性が上がる

基本的に外壁以外の壁の内部は空洞ですが、内部に遮音材や断熱材を入れることで、遮音性・断熱性を高めることができます。

壁を厚くすれば、遮音材や断熱材の厚みも増すことができるので、通常の壁に比べてその遮音性・断熱性をさらに高めることができます

楽器をする部屋や、水回りの音を遮りたい時などは有効です。

壁を薄くする

壁は厚くするだけでなく、薄くすることもできます。

私たちも下の図のように、洗面台の横に余ってしまったスペースがあまりにも狭いため、壁Aを薄くすることで数cm広げました。

ただし、柱を含む壁や耐力壁、外壁など、建物の構造、断熱性等に影響する壁は薄くすることができません。

それ以外にも、コンセントや配管などの設備がある壁も最低限の厚みが必要なので、薄くできない場合があります。

以上を考えると、あまり薄くできる壁は多くありませんが、条件さえクリアできれば、可能な限り薄くすることで有効幅を拡大できるためおすすめです。


以上、壁の厚みについてご紹介しました!

家づくりに関心のある方でも、あまり深く考えることはなかった内容ではないでしょうか。

意外と「壁の厚みは変えられる」ということを知っているだけでも、間取りづくりやインテリアの幅が広がると思います。

私たち自身、「初めから知ってればもっと工夫できたかな…」と思う部分もあるので、これから家づくりをされる方にとって少しでも参考になれば幸いです。

それではまた次回!

コスパ重視の家づくり hananoie
この記事を書いた人
ハナ

1990年代生まれの共働きアラサー夫婦です!
好きなものは「花」と「動物」と「コスパ」。
2022年にマイホームを建築。建築知識ゼロからのスタートでしたが後悔のない家づくりのために猛勉強。そんな経験を通してこれから家づくりをされる方、家づくり中の方に参考にしていただける情報を発信します。
私たちの経験、知識をもとに、コスパ重視の家づくり情報について発信します!

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