図面だけを信じると失敗する⁉️有効幅の話

家づくり知識

実際に使えるスペースは図面上確保したスペースよりも小さくなるってご存知でしたか?

実際に使える幅を「有効幅」と言います。

この「有効幅」を見落とすと、置こうとしていた家具が入らない!

なんて失敗にもつながります。

今回はそんな間取り作りの落とし穴「有効幅」について、基礎から失敗事例、失敗しないための対策についてご紹介します。


まずは前回記事「単位とモジュールの話」の復習から。

設計の基本単位を「モジュール」と言い、1マスが910mm×910mmのものを「尺モジュール」と呼ぶと紹介しました。

*「モジュール」について詳しく知りたい方はこちらまで

通路幅が1Pなら910mmの幅があるんだね!今の家より広い!

幅1Pのスペースなら910mmまでの家具が入るってことか

と思われた方もおられるかもしれませんが、実はそうではないんです。

実際に使えるスペース「有効幅」は図面上確保したスペースよりも小さくなるんです。

今回はこの見落としがちな「有効幅」について紹介します。

「有効幅」とは

有効幅とは実際に使うことのできる空間の幅です。

どうして図面上のスペースよりも小さくなるのか。

それは「図面の寸法は壁の中心から中心の距離を示しているから」です。

図面では壁の厚みは無視されているため、有効幅は壁の厚みの分狭くなるんですね。

有効幅の確認方法

有効幅は「図面上の寸法ー(壁の厚み/2)ー(壁の厚み/2)」となるので、

「図面上の寸法ー壁の厚み」で算出できます。

壁の厚みは柱の太さや仕上げによって変わりますが、130mmを標準としている場合が多いようです。

ですので例えば幅2Pの収納であれば、その有効幅は

1820ー130=1690mm

となり、実際に使える幅は1690mmということです。

繰り返しになりますが、壁の厚みは柱の太さや壁の仕上げによって変わります。

必ず住宅会社に壁の厚みがいくらかを確認しましょう。

有効幅の見落としで発生するトラブル

家具・家電が収まらない

有効幅を確認しておかないと、想定していた場所に家具や家電を配置できない、なんてことがあります。

冷蔵庫や洗濯機、本棚や机など、家電や家具のサイズは可能な限り想定した上で収納場所を設計することをお勧めします。

私たちの失敗

私たちも細かいことではありますが、収納に収めようと思っていた収納ケースがぴったり合わずに悔しい思いをしました…

3つ並べられたら綺麗に納まるのに…

家具・家電が搬入できない

収納場所の有効幅だけでなく、動線の有効幅も確認しておかないと、そもそも搬入できない!となってしまうこともあります。

特に大型家電の冷蔵庫や洗濯機、2Fで使うことが多いであろうマットレスなどは、必ず搬入動線を通るかどうかも確認しましょう。

私たちの失敗

私たちは搬入動線を確認した上で、幅695mmの大型の冷蔵庫を購入しました。

動線は最低でも730mmを確保していたので大丈夫!と思い込んでいました。

しかしいざ搬入しようとすると、ぎりぎり…

それもそのはず、冷蔵庫自体が通れてもそれを支える人が手を入れる隙間すらない!

しかも途中で90°ターンしなければならなかったため、さらに難しいミッションに…

搬入業者さんの匠のテクニックでなんとか搬入できましたが、少し間違えば入りませんでした。

搬入できるかどうかは、動線の有効幅だけでなく、動線の複雑さも考慮した方がよさそうです。

有効幅以外にも見落としがちなポイント

有効幅は壁の厚みだけでなく、壁から出っぱる部分がある場合は、それらも考慮する必要があります。

ニッチ等の棚板、コンセント、稼働棚のレール、巾木なども数mm程度とわずかですが厚みがあります。

特に有効幅ギリギリになりそうな家具や家電は、これらの厚みも考えて配置しましょう。

有効幅で失敗しないための対策

有効幅で失敗しないためには、事前にどれだけ対策できるかが重要です。

いざできてしまってからでは対策が難しいので下記で紹介するような点に注意することで、失敗を少しでも避けられると思います。

事前に家具・家電のサイズを想定しておく

言わずもがなですがこれが一番大切で有効な手になります。

家づくりに精一杯で家具や家電まで決められない!

という場合でも、家具や家電は標準的なサイズというものがあるので、それを把握しておくだけでも失敗は避けられるはず。

例えば600Lクラスの大型冷蔵庫なら幅は69cm前後、

ドラム式や8kg以上の縦型洗濯機なら幅60cm程度、

机なら幅90cm以上で、120cm、150cm…と30cm刻みのものが多い

など、実際に購入するもの自体が決まっていなくても、標準サイズを把握していればある程度想定できます。

有効幅に余裕を持って設計する

なんでもぴったり収めるのが美しいですが、mm単位でぴったりを目指してしまうと入らない、もしくは入っても壁を傷つけてしまうなどのトラブルにつながります。

どんなものでもせめて数cmくらいは余裕を見て作っておいた方が無難でしょう。

壁の厚みを調節する

あと数cm幅が足りないけど、壁の位置は変えられない!

という場合でも、壁の厚みを調節することで、必要な有効幅を確保できることがあります。

ただし柱、耐力壁、外壁など、構造上必要な壁は薄くすることができません。


以上、有効幅について紹介しました。

地味ですが家づくりにおいて大切な有効幅、少しでもわかっていただけましたでしょうか。

細かい話ではありますが、今後紹介しようとしている内容の基礎にもなる部分ですので早めに記事にしてみました。

今後も、家づくりの基礎知識について、できるだけわかりやすく紹介していきます。

それでは次回もよろしくお願いします!

コスパ重視の家づくり hananoie
この記事を書いた人
ハナ

1990年代生まれの共働きアラサー夫婦です!
好きなものは「花」と「動物」と「コスパ」。
2022年にマイホームを建築。建築知識ゼロからのスタートでしたが後悔のない家づくりのために猛勉強。そんな経験を通してこれから家づくりをされる方、家づくり中の方に参考にしていただける情報を発信します。
私たちの経験、知識をもとに、コスパ重視の家づくり情報について発信します!

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